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なぜ、フランス人は“自分らしさ”を見つけるのが得意なのか

フランス人は「自分のことをより深く知る」ために多くの時間を使う印象があります。
とあるフランス人とショッピングに行ったときのこと、「これは私のスタイルだわ」という言葉とともにアイテムを選んでいることに気がつきました。

商品それ自体が「かわいい」「おしゃれ」「流行しているから」という理由ではなく、それが自分のスタイルや雰囲気にマッチするからという考えをもとに選ぶのが印象的でした。フランス人が年齢を重ねても美しく見えるのは、自身をよく知った上で自分らしいスタイルを確立し、それに似合うものを知り尽くしているから。自由や個性を尊重する国民性だからこそといえるでしょう。

では、彼女たちは一体どのようにして自分らしいスタイルを見つけ出しているのかというと、若い頃から自分に合うものを追求し、挑戦し続けているということに尽きます。意外と当たり前に聞こえるかもしれませんが、分かりやすい例が試着です。


世界のファッショントレンドを牽引しているフランスでは、常にフィッティングルームに長蛇の列ができます。気になるアイテムは臆すことなく試し、全方位を鏡に映しながら自分の姿をチェック。ファストファッションブランドの試着室であっても鏡が大きく、三面鏡であることも珍しくありません。少しでも納得がいかなかったら「ノン」。販売員や友人からポジティブなアドバイスを受けたとしても、決して妥協することはありません。

また、専門店であれば販売員にも試着した姿を見せ、必ずといって良いほどプロのアドバイスを求めます。個人主義のフランスでは、販売員も一個人として、友人のようにカスタマーにアドバイスするのが一般的。似合う場合は、カスタマーの個性や長所などを褒めつつ、なぜその色やデザインが合っているのかを明確に伝えます。一方で、似合わない場合もはっきりとその理由を伝え、代わりのアイテムやサイズ違いの提案を行います。

これはファッションに限らず、ビューティの分野でもいえること。特にカラーメイクに関しては「セフォラ」のような大型店であっても、販売員とカスタマーとのコミニケーションが活発に行われます。ブランドの垣根を越えた提案や豊富な知識、忖度のないアドバイスは、カスタマーにとって貴重な経験となります。私たちの日常ともいえるショッピングの度に自分を見つめ、販売員の客観的なアドバイスが積み重なれば、自ずと“自分らしいスタイル”が形作られていきます。

また、このようなやりとりは友人間でも行われます。似合っている場合は会った瞬間に褒め、そうでない場合は直接本人に伝えます。時にはそのアドバイスが辛辣に感じてしまうこともあるようですが、若い頃から苦い経験も含めて自分を磨き続けるフランス人が、年齢を重ねるにつれ自分のスタイルを確立していくのは必然といえるでしょう。

調和を大切にする日本では、このような接客やコミニケーションはあまり好まれないかもしれません。しかし、フランス人のようにファッション、カラーメイク、アクセサリーなどを選ぶときに自分の心に響いたものを一通り試してみることはできます。また、何でも話し合える友人や家族、パートナーとのショッピングであれば、きっとあなたの美しさや魅力を客観的に見出してくれるはずです(近年では、似合うファッションやメイクを分析する専門家による、診断サービスも増えてきました)。

自分のことを深く知ること、そして身に纏うものや触れるものにもこだわりを持つことで、自分らしく居心地の良い日々が送れることでしょう。それもきっと、ひとつのビヤンネートルの形なのです。

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