リフレクソロジー
目次
リフレクソロジー Réflexologie/Reflexology
リフレクソロジーとは、手や足、耳などにある反射区を刺激し、心身の不調を改善する療法です。反射療法ともいわれます。
反射区を刺激することで血液循環が良くなり、新陳代謝が促進され、体質改善や健康増進を図ることができます。また、高いリラクゼーション効果も期待できます。
リフレクソロジーの歴史
リフレクソロジーの起源は紀元前にまで遡ります。足や手に何らかの刺激を加え、身体の不調を改善する療法は、古代エジプトをはじめ中国やインドなどでも用いられていました。
近代のリフレクソロジーはアメリカが発祥と言われています。アメリカ人医師ウィリアム・フィッツジェラルドは、身体を頭から足まで縦に10のゾーンに分割し、手や足などに刺激を加えると、同じゾーンにある他の部位の痛みを和らげる効果が得られると考えました。彼は1917年に「ゾーン・セラピー」という本を発表します。
1930年代初頭、理学療法士であったアメリカ人のユーニス・イングハムは、この理論をさらに発展させ、足裏のゾーン(反射区)と身体の臓器や器官とを対応させた「フットチャート(足裏反射区図)」を作成しました。彼女は、リフレクソロジーの母と呼ばれています。
アメリカで発展したリフレクソロジーは、ヨーロッパをはじめ、世界各地へ広がっていきました。
フランスでも、リフレクソロジーはリラクゼーションを目的として、日々の軽度な不調やストレスを軽減するための代替療法のひとつとして、広く活用されています。
また、耳のリフレクソロジーは、1951年にフランス人医師ポール・ノジエが体系化した療法で、「耳介療法」とも呼ばれます。耳に身体の各器官が投影されていると考え、鍼などを用いて反射区を刺激し、症状の改善を図ります。
リフレクソロジーに必要なもの
リフレクソロジーでは、足の裏や手、耳、顔などにある反射区を刺激します。
足の裏や手のひらには、身体の臓器や器官に対応する反射区があり、それぞれが身体のどの部分に関係するのかを示した「フットチャート」や「ハンドチャート」を参考にしながら、施術を行います。
例えば、フットチャートでは、目や鼻、耳といった首から上の部分の反射区は足の指のあたりに、また、土踏まずには胃や腎臓などの臓器の反射区があることが確認できます。
反射区に刺激を加えることで、緊張やこりをほぐし、血液やリンパの流れが改善され、身体の各器官や臓器が活性化すると考えられています。
指を用いて圧を加え、マッサージを行う方法は「西洋式リフレクソロジー」と呼ばれ、高いリラクゼーション効果が期待できます。
指の関節や棒などの道具を用いる方法もあり、これは「東洋式リフレクソロジー」などと呼ばれます。西洋式リフレクソロジーでは、反射区を「面」でとらえるのに対し、東洋式リフレクソロジーでは、反射区を「点」でとらえ、「ツボ」を強めに刺激することで症状の改善を図ります。
フランスにおけるリフレクソロジー
フランスでは、リフレクソロジーはリフレクソロジスト(réflexologue レフレクソローグ)がいる専門のサロンで体験できます。
足や手、耳、顔面や頭部の反射区を刺激するリフレクソロジーがあります。
最も一般的な足裏のリフレクソロジーは、身体の様々な器官を活性化し、自然治癒力を高め、心身ともに健康な状態へと導いてくれます。また、身体の緊張やこりをほぐし、高いリラクゼーション効果が得られるため、幅広い年齢層に親しまれています。
さらに、ハンドリフレクソロジーを併用することで、癒やしの効果や治療効果を高めることもできます。ハンドリフレクソロジーは、怪我や持病、過敏症などのためにフットリフレクソロジーを利用できない場合にも活用されています。
リフレクソロジーは専門サロンの他、フィットネスセンターやタラソテラピーセンター、高齢者施設や緩和ケア病棟、病院などでも活用されています。
リフレクソロジーの効果
足の裏や手のひらには多くの反射区があり、反射区を刺激することで様々な効果が得られます。
反射区を刺激することによって、血液やリンパの流れが改善され、老廃物の排出が促進されます。身体のむくみを解消し、冷え性や便秘の改善にも効果的です。デトックス効果や、美容やダイエットの効果も期待できます。
また、筋肉痛や関節痛の痛みを緩和する効果もあります。腰痛や首の痛みを和らげたり、肩こりの症状を改善してくれます。
身体の機能回復にも役立ち、消化不良や便秘、月経前症候群などの症状改善も期待できます。
また、疲労回復やストレスの解消、精神的な不安を軽減する効果もあるため、高いリラックス効果が得られ、心身のバランスを良い状態に保つことができます。
なお、リフレクソロジーは足や手に捻挫やあざなどの炎症や外傷がある場合、静脈炎や血栓症などの疾患や心血管疾患がある場合には推奨されません。施術を受ける前に、医師に相談することが必要です。また、妊娠中の女性においても、事前に医師に相談することが推奨されています。
医療との関係
リフレクソロジーはストレスや睡眠障害、頭痛や腰痛、消化器疾患、ニキビなどの症状改善に効果があると言われます。
リフレクソロジストの役割は、利用者の身体の不調を見つけて痛みや緊張を和らげることです。リフレクソロジストは医師ではないため、診断や治療を行うことはできません。
リフレクソロジーは化学療法の副作用を軽減したり、緩和ケアに活用されることもあります。
一方で、リフレクソロジーの有効性や予防効果について、科学的根拠はないとされています。
リフレクソロジーは、あくまで医療を補完する役割を果たすもので、治療が必要な場合には医師の診断を受ける必要があります。
日々の生活での取り入れかた
リフレクソロジーは疲労や頭痛、足のむくみなど、日々のちょっとした不調を改善するために、日常的に取り入れやすい療法です。
専門サロンを利用するほか、反射区を示したフットチャートやハンドチャートを参考に、自宅でセルフケアとして活用することもできます。
ハンドリフレクソロジーは場所を選ばずに実践でき、休憩時間などにも手軽に活用できます。蓄積した疲れを癒やし、緊張がほぐれ、心を落ち着かせる効果も期待できます。また、就寝前のハンドマッサージは心と身体をリラックスさせ、心地よい眠りに導いてくれます。
自宅で時間がとれる時には、フットリフレクソロジーをゆっくりと行うのも効果的です。足を温めて血行を促進したり、アロママッサージオイルを使用することで相乗効果が期待できます。
日本におけるリフレクソロジー
日本では、リフレクソロジーは主にリラクゼーションを目的として親しまれています。
指を使って施術を行うリフレクソロジーは「英国式リフレクソロジー」や「西洋式リフレクソロジー」と呼ばれ、アロマトリートメントなどと組み合わせられるなど、リラクゼーションサロンやマッサージ施設などでも幅広く取り入れられており、人気があります。
リフレクソロジーの専門サロンは個人サロンのほか、駅の近くやデパート、商業施設内に併設されていることもあり、仕事帰りや休日の外出の際などにも気軽に利用できます。また、エステティックサロンやスパ施設、ホテルなどでトリートメントと組み合わせて利用できる場所もあります。
また、リフレクソロジーによるリラクゼーション効果や、痛みを緩和する効果は、医療や介護の現場でも活用されています。
リフレクソロジーの費用
リフレクソロジーは、専門のサロンで体験することができます。
15分〜20分のコースから利用でき、2,000円〜3,000円前後で施術を受けることができます。事前の予約なく利用できる施設もあり、手軽に利用できるため、リラックスしたい時や疲労回復に最適です。疲れが溜まっていたり、じっくりとケアしたい場合には、40分や60分といったより長いコースを選ぶこともできます。上半身と下半身の疲れ具合に合わせて、ハンドリフレクソロジーまたはフットリフレクソロジーを選んだり、ボディケアやアロマトリートメントなどと組み合わせることで、より高い効果が得られます。
リフレクソロジーについて学んでみたいという場合には、専門スクールなどで学ぶことができます。プロフェッショナルを目指して、技術や知識を本格的に身に着けるためのコースから、家族や自分の健康管理のためにリフレクソロジーを学べる短期のコースまで、レベルや目的に応じて選ぶこともできます。
リフレクソロジーに関する書籍も販売されており、独学で学び、セルフマッサージなどに活用することもできます。
リフレクソロジーと資格
リフレクソロジーの知識や技術を活かすためには、リフレクソロジストやテラピスト、インストラクターなどとしての活躍が考えられます。リフレクソロジーの専門サロンへの就職の他、エステティックサロンやフィットネスクラブ、温泉施設やホテルなどで働くことも考えられます。
また、講座やセミナーの講師として活動したり、リフレクソロジーの専門サロンを開業するという道もあります。
リフレクソロジストとして働くために、国家資格は必要ありません。しかし、リフレクソロジーについての十分な知識や熟練した技術が求められます。リフレクソロジー専門のスクールで学んだり、通信教育を利用する方法もあります。
民間団体がリフレクソロジーに関する講座を行ったり、資格の認定を行っています。
また、リフレクソロジーは既存のコースメニューに導入したり、新たにオプションとして取り入れることもでき、エステティックサロンやマッサージ店などでの活用も期待できます。
医療や介護の現場では、補完代替療法としてリフレクソロジーの活用が期待されており、リフレクソロジーの知識や技術を活かすことも可能です。