「ごみゼロ国際デー」で日本が抱える課題とアクションプラン

3月30日は「ごみゼロ国際デー(International Day of Zero Waste)」です。
これは、2022年に制定されたばかりの新しい国際デーです。前編ではフランスの取り組みについてご紹介しましたが、後編では、日本における現在のごみ問題やリサイクルへの課題について見ていきましょう。

日本が掲げた“脱プラ”に向けた6つの目標

日本では2019年にプラスチック資源循環戦略を策定しました。
これらは、3R(リデュース/減らす、リユース/再使用、リサイクル/再生)とバイオマスプラスチックの項目別に、「6つのマイルストーン」が設定されています。


<リデュース>
① 2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制

<リユース・リサイクル>
② 2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
③ 2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
④ 2035年までに使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクル等により有効活用

<再生利用・バイオマスプラスチック>
⑤ 2030年までに再生利用を倍増
⑥ 2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入

前編に見たフランスと比べるとやや控えめな目標設定ですが、日本でもプラスチックから紙素材に資材を変更するお店が増えたり、リサイクル素材を生かした商品設計をするメーカーが増えたりと様々な取り組みが見られるようになりました。

リサイクル率は80%だけど実態は少し違う⁉︎

しかしながら、日本は一人あたりのプラスチック消費量が世界第2位。圧倒的にプラスチック消費が多い国なのです。プラスチックをたくさん使っても、きちんとリサイクルされれば問題ないように思いますが、もともとプラスチックは製造過程や焼却の段階で大量のCO2が排出されるため、地球環境に良いとは言えません。

また、日本のプラスチックリサイクル率は80%以上と、一見しっかりとリサイクルが行われているように見えますが、実際はほとんどが焼却処理されています。プラスチックの焼却から熱エネルギーを得られることから、日本ではこれをリサイクルと見なしているのです。一方、欧米諸国ではプラスチックの焼却はリサイクルと定義していません。本来の意味でのリサイクル率は、欧米諸国のほうが高い割合で推移しています。

プラスチックは軽くて丈夫なうえ衛生面でも優れているので、もはやそれ無しの生活は難しいでしょう。しかし、日本よりもプラスチック利用の少ない国々が、厳しい規制を課して脱プラスチックを目指していることを忘れてはなりません。国の方針はさておき、私たちひとりひとりにもできることはまだまだあるはずです。次は我々が生活の中でできることを考えていきましょう。

プラマークはメーカーがリサイクル費用を負担している証

プラスチックを買わないようにするというのは、現実社会ではなかなか難しいものです。そこで誰しもが始められる試みとして、まずはプラスチックを適切に分別できているかを確認してみましょう。

プラスチックの分別は、「容器包装リサイクル法」という法律に基づいて回収しリサイクルされています。「容器包装」とあるように、残念ながら全てのプラスチックが対象ではありません。商品のケースやパッケージ、容器などが対象です。包装や容器に「プラマーク」がついているかどうかで見分けることができます。
プラマークがついている商品は、それを販売するメーカーがリサイクル費用を負担しています。マークがついていないものは費用負担やリサイクルのための仕組みがないため、プラスチックだとしても対象外になってしまいます。

包装や容器に限定された背景は、制定された1995年当時はごみが増えて埋立地が足りなくなるという課題に直面していたことにあります。その解決策として、ごみの半分以上を占める包装容器をリサイクルにまわそう、というのがそもそもの成り立ちだったのです。

正しく分別することが小さな一歩に

プラマークがついていないプラスチックのリサイクルの可否については、自治体ごとに違いがあります。例えば、歯ブラシはプラスチックでできていますが、容器や包装ではなく商品そのものなので、リサイクル回収には該当しません。

しかし、自治体によってはこれらもプラスチックとして回収し、リサイクル可能なところもあるため、お住いの地域ごとに確認が必要です。「市区町村名 プラスチック 分別」などで、インターネットで検索すると簡単に調べることができます。

日本ではプラスチックのリサイクルは焼却割合が多かったり、全てが対象でないという点では不十分かもしれません。改善の余地は大いにあるものの、同時に今すぐできることを積み重ねていくことも大事です。汚れを落として回収に出すなどひと手間はかかりますが、プラスチック製品を選んだ責任として、ぜひ取り組んでみてください。ルールに則って、プラスチックをできるだけリサイクルに回す努力を続けていきましょう。

便利さを追求するあまり、過剰な包装や梱包など必要以上にごみを多く出してしまっている現代の私たちの暮らし。しかし、もしそれらを減らすことができれば、当然ながら捨てる手間もかかりません。

ごみを出さないようにする暮らしというのは、案外私たちが思うより快適な暮らしなのかもしれません。「ごみゼロ国際デー」を機に、ものとの付き合い方やごみを減らす工夫について考えてみてはいかがでしょうか。

Realization & Text : Ayako Ichimura 、Edit : Institut du bien-être 

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