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ビヤンネートル、何から始めて良いか分からないときは

「ビヤンネートル」の説明をしていてよく耳にするのが「どんなアクションから始めれば良いか」という疑問。心身を心地良い状態に整えるのが「ビヤンネートル」なので、その問いに対する最もシンプルな答えは「自分にとって心地よいこと」。ただ、それでは漠然とし過ぎていて具体的なイメージがつかないのも事実です。そこで即効性があり、フランス人も取りれている方法としておすすめしたいのが「香りの力を借りること」です。

嗅覚は五感の中で唯一、脳に直接働きかける感覚といわれています。匂いを嗅ぐと、鼻腔の中の嗅覚受容体が匂いの化学物質に反応し、それによって信号が脳に送られるのです。また、匂いが特定の場面や出来事と関連付けられていると、その匂いを嗅いだだけで、その場面や出来事を思い出すことがあります。何かの匂いをきっかけに、考えるよりも先に情動が変化することもあるので、私たちは無意識のうちに、匂いに心が動かされるといっても過言ではないのかもしれません。

フランス人と香水の歴史は非常に深い関係があります。17世紀には、フランス宮廷において香水が広く使われるようになり、ルイ14世は「香水の王」として知られています。また、18世紀にはフランスの香水業界は更なる発展を遂げ、香水職人たちは芳香料の組み合わせによって、独自の香りを創り出す技術を磨きました。

実際、フランス人のドレッサーにはたくさんの香水や精油が並んでいます。ブティックやホテルなどの空間をデザインする上でも、香りは彩りをもたらすものとして取り入れられています。また、フランス人と会話をしていると「今日は香水をつけるのを忘れてしまった」というフレーズを耳にします。自分の気持ちを即座に高めてくれるものとして香りを取り入れていることがうかがえます。


これまで、日本のスパでは自身の悩みに合わせてセラピストが精油の香りを選ぶのが一般的でした。しかし、最近では複数ある香りを試した上で「今一番好きな香りを選んでください」と、自分が求める香りを選ぶのが主流となってきました。深いリラックスを得るにはアロマが持つ効果・効能よりも「今、自分にとって何か一番心地よいか」を大切にすることの方が有効な場合があります。

日本では強すぎる香水は好まれない場合もあります。しかし、日本では平安時代に香道が開かれ、江戸時代には香を焚くことを通じて五感を開放し、心身を整えることができる芸道として一般庶民の間にも広まりました。自宅でお香やアロマキャンドルを焚くことはもちろん、オフィスでお気に入りの精油を嗅ぐ、ポーチサイズのロールオンタイプのエッセンシャルオイルをそっと楽しむ、あるいは夜はお風呂で芳香浴で癒しの時間をもつなど、香りによる気持ちのスイッチングは最も手軽な方法です。実際、日本でもパンデミックを経て、香りの持つ力が再び注目されはじめています。

センスの問われるメイクアップやファッションは多少ハードルが高いと感じても、好きな香りを嗜む上で必要なのは自分が心地よく感じるかという素直な感覚のみです。香りの力を借りるのは、日々のビヤンネートルを実践する第一歩には最適な方法といえるでしょう。

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