バルネオテラピー

バルネオテラピー
Balnéothérapie /Balneotherapy

バルネオテラピーとは、バスタブやプールなどの水中で治療やリハビリテーションを行い、健康増進を図る療法です。入浴療法や温泉療法ともいわれます。
症状の改善や健康予防のほか、リラクゼーションや美容の効果も期待できます。
温泉水を利用するテルマリズム(thermalisme)も、バルネオテラピーの一種です。

バルネオテラピーの歴史

バルネオテラピーの「バルネオ」は、ラテン語で「お風呂」や「入浴」という意味です。
水を使用した治療法は古くから世界各地で用いられてきました。
古代ローマには、すでに公衆浴場が存在し、人々の社交の場として重要な役割を果たしていました。公衆浴場が各地に建設され、数千人を収容できる大浴場も見られました。

ヨーロッパでは温泉療法が広く活用されており、温泉が湧き出る山岳地帯には温泉施設が多数建設され、温泉水を用いた治療が行われてきました。
フランスでも、バルネオテラピーは治療を目的として利用されるほか、健康増進やリラクゼーションを目的として、現在も幅広い年齢層に親しまれています。

バルネオテラピーに必要なもの

バルネオテラピーでは34℃前後の温かい水を使用し、プールやバスタブなどに全身又は身体の一部を浸からせ、水中でエクササイズやストレッチ、マッサージなどを行います。
水中エクササイズでは、スポンジタイプの浮き具やボード、ダンベルなどのアイテムを用いることもあります。

水中での運動は、リハビリテーション治療の一環としても行われます。水の流れに逆らって歩くプールは、運動やリハビリに非常に効果的です。
ジェットシャワーは血液循環を促し、温水ジェットバスは緊張や痛みのある腰や首をマッサージし、痛みをやわらげてくれるほか、リラクゼーション効果も促します。

その他、温泉や泥風呂、バルネオテラピーにアロマテラピーを組み合わせることもあります。浮力と心身へのリラクゼーション効果を利用し、温水の中でオステオパシー(整骨療法)を行うこともあります。

フランスにおけるバルネオテラピー

バルネオテラピーは、スパやプール、健康センター、フイットネスクラブ、温泉施設などで行うことができます。
バルネオテラピーは、特定の疾患を治療したり、病気を予防するために利用される他、リラクゼーションや健康増進、美容などを目的に利用されることも多く、施設によっては週末コースや日帰りのプログラムが用意されていることもあり、ちょっとしたリフレッシュや気分転換、ストレス解消にも効果的です。

水中プログラムは、運動療法士(kinésithérapeute:キネジテラプート)や水治療法士(hydrothérapeute:イドロテラプート)によって行われます。
温泉施設では、温泉療法の専門知識をもった医師の監督のもと、長期で療養を受けることもできます。

バルネオテラピーの効果

バルネオテラピーでは、水中で運動やリハビリテーションを行い、身体機能の回復を図っていきます。
バルネオテラピーは、リウマチや腰痛などの症状の緩和や痛みの軽減に効果があります。
水中では浮力が働き、身体の動きを容易にしてくれるため、エクササイズやリハビリテーションを行うのにも最適です。水中のリハビリテーションは、子どもから高齢者、アスリートなどすべての人に適しています。

また、温かいお湯は、血液循環を促進し、筋肉の緊張やこわばりをほぐしてくれるため、高いリラックス効果が得られます。スポーツによるけがを治療するのにも役立ちます。
温かいお湯とぬるま湯とを交互に使用することで、痛みを和らげる効果も得られます。
ジェットバスやバブルシステムは、マッサージ効果により筋肉や関節をやわらかくしてくれるだけでなく、セルライトを減らし、肌の調子を整えてくれます。

バルネオテラピーは、外傷がある場合や皮膚疾患、中耳炎、感染症の症状、高血圧などの持病がある場合には推奨されません。事前に医師に相談するなどして、安全な利用を心がけましょう。

医療との関係

バルネオテラピーは、リウマチや変形性関節症、慢性的な腰痛の症状緩和などに効果があり、治療を目的として病院やクリニック、専門施設などで活用されます。
また、リハビリテーションの一環として、医師や運動療法士がバルネオテラピーを勧めることもあります。

バルネオテラピーのプログラムは、運動療法士の指導のもと、患者の症状や痛みの状況、体調などに応じて、個別またはグループで実施されます。
プログラムは通常30分〜1時間ほど続き、ウォームアップに始まりエクササイズ、そして最後にストレッチで終了します。

また、バルネオテラピーはペットの治療や健康増進にも活用されています。犬のバルネオテラピーは、関節疾患の治療や肥満解消、また怪我や手術後のリハビリテーションの一環として取り入れられており、専用のプールや運動器具などが設置されている施設もあります。

日々の生活での取り入れかた

バルネオテラピーは、スパやフィットネスクラブなどで利用でき、健康づくりやリフレッシュに効果的です。

スパや施設を訪れなくても、温かいお湯を利用して、お風呂やシャワーなど自宅でセルフケアに取り入れることもできます。
手浴や足浴など、身体の一部をお湯に浸すだけでもリラックス効果が得られ、また温水や冷水に交互に浸すことで、血行が促進され疲労回復やむくみの解消も期待できます。
好みの香りの精油を用いたアロマバスや、マッサージなどのトリートメントと組み合わせることによって高いリラクゼーション効果を得ることができます。

日本におけるバルネオテラピー

水を用いた療法や温泉療法は、日本でも古くから用いられてきました。
日本では温泉にゆっくりとつかることで、症状の改善や緩和を図ります。また、治療のためだけでなく、疲労回復やリフレッシュに温泉地を訪れる人も多く、温泉地は観光地としても人気があります。
湯船につかる習慣のある日本では、温泉やバスタイムは、心身ともにリラックスでき、疲労回復や健康を維持するために日常的に行えるセルフケアのひとつとして、重要な役割を果たしてきました。

プールやスポーツクラブなどでは、温かいお湯でリラクゼーションを図ったり、ぬるめの温度の水中で運動を行うプログラムが実施されている場所もあります。

また、温かい水中での運動や水中歩行などはリハビリテーションの一環として行われることも多く、医療機関や介護施設などでも取り入れられています。また、ペットの治療への温泉療法の活用も期待されています。

バルネオテラピーの費用

バルネオテラピーはスパ施設や温泉施設で体験することができます。入浴施設の他、ジェットバスやジェットシャワー、サウナの設備が整っていたり、マッサージやトリートメントサロンが併設されていることも多く、心身ともにリラクゼーションを図ることができます。
日帰りで利用できる場所もあり、3,000円前後の施設利用料で利用できます。

水中エクササイズや温水プールでのリラクゼーションは、フィットネスクラブやプールのある施設でも体験することができます。健康センターや公営プールでも、温水プールやジャクジーが併設されていたり、水中運動のプログラムを実施しているところもあり、健康づくりの場として活用されています。

バルネオテラピーと資格

バルネオテラピーの知識や技術を活かす場所としては、フィットネスクラブやプール、スパ施設や温泉施設などで、テラピストやインストラクターなどとしての活躍が考えられます。
また、エステティックサロンやスパ施設などでは、バルネオテラピーを取り入れたマッサージやトリートメントのコースを提供していることもあります。

バルネオテラピーを行うために、必要な国家資格はありませんが、水中運動や温泉水の効能や効果、温泉水を使った温泉療法についての知識や技術が求められます。
民間団体がバルネオテラピーに関する講座を行ったり、資格の認定を行っています。

バルネオテラピーは、医療や介護の現場でも活用されています。
治療を目的にリハビリテーションを行う場合には、運動療法や水治療法などの様々な知識が必要になります。理学療法士になるためには国家資格が必要です。

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