フランス流自然療法:4つの気質タイプを探ろう

セルフケアの情報発信は、あらゆるメディアや施設から積極的に行われている一方で、なかなか自分に合った方法に辿り着けないという声をよく耳にします。そんなときは、フランスの自然療法でも採用されている「人間が持つ4つの気質」に目を向けてみましょう。自身の気質のタイプを予め知ることで、適切な方法を導き出せるヒントとなるからです。

ヒポクラテスが確立した4つの気質

フランスにおける一般的なナチュロパシーとは、植物療法や運動療法、食事療法などを取り入れながら、心身のバランスを整えて健康を維持していく自然療法です。これは、中国医学やインドのアーユルヴェーダ医学といった伝統医学に通ずるものがあります。

西洋医学の父と呼ばれるヒポクラテスによると、人間の気質には4つのタイプがあり、人は皆、それぞれの気質を少しずつ受け継いでいるといわれています。この考え方はナチュロパシーにおいても取り入れられており、その人の優位なタイプを見極めることで、自然療法士はより的確なアドバイスをすることができると考えられています。

自分の優位気質を知ることの大切さ

この分類は、私たちが一人ひとりをよりよく知り、その人の機能や強みと弱みを知ることで、どうすればスムーズに日々の生活を送ることができるかを考えるのに役立ちます。ライフスタイルへのアドバイスは、すべての人に同じ提案をしたり、同じ結果を期待することはできません。だからこそ、自分がどこに行きたいかを知る前に、どこから出発しているかを理解することが大切なのです。

私たち日本人の場合は、インドのアーユルヴェーダ医学が定めた3つの気質「ヴァータ・ピッタ・カパ(風・火・水)」の方がなじみが深いかもしれません。ヒポクラテスが定めた4つの気質のなかにもまた、自分にとって必ず1つは優位性のものがあります。早速、それぞれのタイプを確認していきましょう。

タイプ1:粘液質(リンパ質)

粘液質の人は、少しふっくらとした体型が特徴。顔や体は平均より丸くカーブがあり、その存在感は一般的に落ち着いた様子で“静かな力”さえ感じるほど。性格も控えめで適応力があり、環境をよく観察し、どちらかというと内向的な性格です。制限を設けるのが苦手ですが、集団行動は得意でじっとしていることは苦手です。

体の特徴は、冷たく湿度のある柔らかい肌質で秋の湿度や冬の寒さが苦手。副交感神経が優位な状態が長く続くと、疲れが溜まりやすく、アレルギー疾患がでる場合があります。動きもスローモーションで脈もゆっくり打ちます。

また、食欲が旺盛で、熱いものや辛いものを好む傾向にあります。ナチュロパシーの観点では、生ものは控えたほうがよいとされています。なお、不調が続くときは感情を大切にすることを優先すると、再び軌道にのりやすくなると考えられています。心を整えるためのアロマや瞑想、散歩などの軽い運動は大きな助けとなるでしょう。

タイプ2:多血質

多血質の人は人生をとことん楽しむ、アクティブな性格が特徴。たまご型の顔とピンク色の血色感のある肌色で体温も高く、しっとりとした手や弾力と潤いのある肌を持っています。社交的でアイディアと発想に満ち溢れ、分かち合うことが好きですが、おめでたい性格でもあるため周囲への気遣いも必要となります。

体の特徴は、エネルギッシュで性にも奔放。消化器官系が健やかな一方で、循環器系に注意が必要となります。急な発熱や発疹、ウイルスに対する防御反応である炎症性疾患なども出やすいので、日頃からの体調管理は欠かせません。

また、エネルギーが豊富なため疲労の蓄積に気付けないこともあるので、燃え尽き症候群(バーンアウト)にも注意しましょう。リラックスや休息する時間を意識的にとるためにも、マッサージや音楽、映画などは多血質の真の味方となるはずです。

タイプ3:憂鬱質(神経質)

憂鬱質は常に考え事に明け暮れており、天才肌の人が多いタイプ。全体的にやせており、肌は乾燥していて土色をしています。美的センスや芸術に長け、頭は切れるが常に不安感と隣り合わせで、うつ病になりやすいともいわれています。内向的で運動はあまり好まず、孤独を楽しむことができる性質を持ちます。

体の特徴として、食が細いことから消化器官に負担をかけないことが重要。食べ過ぎると体の重さや不調を感じる傾向にあります。また、心の影響による肌荒れや胃・腸・大腸の機能の低下や痛みが起きないよう注意する必要があります。

心と体を充電するためには、瞑想や屋外での運動、ガーデニングなど、太陽や自然の力を借りることが大切。日々忙しく働く脳を現実から切り離すよう心がけましょう。

タイプ4:胆汁質

胆汁質はやや背が高くスラッとしており筋肉質。つまり、非常に運動神経が良いタイプとされています。顔は角張り、肌は乾燥ぎみでかため、顔色は黄みがかることが多い。多血質と同じく、エネルギーに満ち溢れており多動で意志が強く、すべてをコントロールしたがる傾向にあります。柔軟さを欠くことによるストレスの蓄積に注意しましょう。

体の特徴として、頑張り屋の胆汁質が気を配るべきは肝臓と胆嚢。行動によって生じるストレスは、それらを酸性化する傾向があります。この酸性は痛みを伴い、痙攣を起こす場合もあります。また、アクティブで心臓に負担がかかり過ぎることもあるので、適宜休息の時間を設けることも大切です。

自然療法の観点からは、ジェモテラピーやバッチフラワーレメディー、やEFT(Emotional Freedom Technique/感情解放テクニック)を使って、感情に働きかけることがおすすめ。簡単かつ短時間で、しかも一人でできる方法を取ることが合うでしょう。

気質に合ったライフスタイルを見つけよう

今回は自然療法士が行う診断を元に、4つの気質をご紹介しました。もし迷った場合は、肌質が湿っているか乾いているか、性格が内向的かエネルギッシュかという点で判断してみましょう。肌が湿っていて内向的であればタイプ1の粘液質、肌が湿っていてアクティブであればタイプ2の多血質というように、大よその狙いを定めることができます。

自分の気質を知ることは、体調やストレス、トラブルの解決のヒントとなり得る場合があります。例えば、憂鬱質タイプの場合、毎晩なるべく早くベッドに入り、冷たいシャワーと30分の有酸素運動で1日を始めることを強要すると、かえって心も体も混乱してしまいます。
この場合、すぐにハードな有酸素運動を提案することはせず、優しく伴走するのが近道となります。つまり、自分の体の気質に合った方法で穏やかに調整し、各々の体や心の機能に合わせる必要があるのです。

自身の気質の長所がウィークポイントとならないよう、リバランスを意識しながら日々のケアを取り入れてみてください。

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