フランス人が春に大掃除を行う理由とは

「春の大掃除」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。日本では、大掃除は年末に行うものというのが一般的ですが、フランスでは大掃除の季節といえば、春を指すのです。年末に大掃除をしたはずなのに早くも散らかりはじめたと感じている方、また年末には忙しくて出来なかったという方に、「春の大掃除」はおすすめの習慣です。

農業国フランスならではの春掃除

日本では新年を迎える準備として行われる大掃除。フランスで春に行われる理由は、農業が盛んだった時代に春になると次に作る作物のために納屋や屋根裏を空にし、掃除が行われたことに由来します。その後石炭ストーブが広まると、春は家中を換気して煤払いするという形で引き継がれていきました。実際に、あるフランス人女性は春が近づくと「春は掃除の季節だから、そろそろ掃除がしたくなる」と話しており、現在でも欠かせない行事であることが伺えます。

日本の大掃除は水回りやキッチンの掃除、断捨離などに注目が集まりますが、フランスでは冬の間に活躍した暖房器具や、天井・壁・ドアといった見落としがちな部分までしっかりと拭き込みます。また日本では、お風呂用、キッチン用、トイレ用、と用途別に専用洗剤が用意されていますが、フランスでは重曹やお酢といったシンプルなものを場所に応じで使い分けるのが一般的。一口に大掃除と言っても、文化の違いが垣間見えるのは興味深いポイントです。

暖かい季節こそ、絶好のタイミング

冬場は寒いため暖房を切ってまで換気したり、冷たい水で掃除しようと思わないのは自然なことです。
一方春は、気温・天候共に申し分のない季節。カーテンやシーツ類を洗えばよく乾き、暖房を切ったまま換気もできます。また湿度も高くないため、梅雨や夏に向けて湿度の溜まりやすい部分の掃除を済ませておくと、カビ予防にも繋がります。掃除だけでなく、冬場活躍した暖房器具や加湿器の片付け、衣替えまでできるのもこの時期ならでは。欧米では新年度は9月から始まりますが、日本では4月から。新生活のスタートに向けて、欧米以上に生活に馴染む良いタイミングかもしれません。


春掃除は2つの方法からセレクトして始めてみよう

さて、ここからは「春の大掃除」を実践するに当たり、生活スタイルに合わせた2つの方法をご紹介します。
ひとつめのパターンは「1日集中して掃除する日をつくる」です。お天気が良さそうな休日を選んで、朝ごはんに好きなものを用意して気持ちのスイッチをONに。お気に入りの音楽を聴きながら始めましょう。ポイントは、一番面倒に感じる場所から取り掛かること。実際には、大掃除を1日で全部終えるのは難しいことも多々あります。限られた時間の中で、いわゆる”ボス”さえ早めに倒してしまえば、大掃除は終わったも同然。そんな気軽な気持ちで取り組んでみましょう。

続いて、丸1日は時間が取れないという方には「スキマ時間を活用する方法」をおすすめします。大掃除の日を決める代わりに、1カ月または1週間単位で、「春の大掃除」ならぬ「春の小掃除」を積み重ねてみましょう。
取り組む前に、まずは5分のセットアップ。ハンディクリーナーや乾拭きワイパー、粘着カーペットクリーナー(通称:コロコロ)といった掃除道具を未使用のシートに取り替え、掃除機の中のゴミも空にしておくこと。また、キッチンや洗面台にマイクロファイバークロスなど拭き取れるものを置いておきましょう。ちょっとした汚れは乾拭きワイパーやハンディクリーナーで手早くお掃除。シートを取り替えているので、思い立った瞬間に拭き取れます。キッチンや水回りもクロスを置いておけばササッと拭き取り汚れをリセット。掃除機も吸引力が復活し、いつもと同じ使い方なのにポテンシャルを最大限発揮してくれます。

日々の生活の中で“ちょこっと磨き”を意識しよう

歯ブラシを取り替えるついでに排水溝をこすってみたり、レモンやオレンジを切ったついでに皮でシンクを磨いてみたり。もう少しだけ頑張れる日は、お風呂ついでに余ったビニール袋を持って排水溝のゴミをチェック。日常のたった数分・数秒のアクションでも、家の中のきれいな場所は確実に増えていきます。

最後に、どちらのパターンでも忘れてはいけないのが、頑張った自分にご褒美を用意すること。もちろん、掃除して整った空間で過ごせること自体が1番の特典ですが、楽しみが多いに越したことはありません。「これなら楽しく掃除ができる!」と思えるご褒美を考えてみましょう。

思いの外、日本でも取り入れやすい春の大掃除。1日しっかり掃除をするか、小掃除を積み重ねるか、自分に合ったスタイルで実践してみてはいかがでしょうか。

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