リトテラピー

リトテラピー Lithothérapie/Litotherapy

リトテラピーとは、石の力によって心と身体を癒やし、健康に導いていく自然療法です。
「リトテラピー」の「リト」は、ギリシャ語で「石」を意味します。
石のエネルギーが身体に作用して、心身のバランスを整え、より良い状態に導いてくれると考えられています。

リトテラピーの歴史

石は古くから特別な力を秘めたものとして、世界各地で尊ばれてきました。
石は神聖なものとみなされ、祈祷や魔除けなどの儀式に用いられたり、装飾品として珍重されていました。石を貨幣の代わりに使ったり、石を砕いて治療に用いることもありました。

ヨーロッパの歴史においても、特定の石に薬効があると考えられ治療に使われることがありましたが、やがて近代医学の発展とともに衰退していきます。
20世紀後半にアメリカでニューエイジ運動が起こり、石にヒーリング効果があると考えられるようになると、石のエネルギーを用いた自然療法は、再び人々の関心を集めるようになりました。リトテラピーという言葉が使われるようになったのもこの頃です。

現在、リトテラピーは代替療法のひとつとして位置づけられるとともに、美容やリラクゼーションといった分野にも広がりを見せ、進化を続けています。

リトテラピーに必要なもの

リトテラピーでは天然石を使います。

天然石のうち「宝石」と呼ばれ、希少価値が高く高額な石を「貴石(Les pierres précieuses)」といいます。ダイヤモンド、ルビー、エメラルド、サファイアなどが挙げられます。
それ以外の石を「半貴石」と呼びます。リトテラピーでは主に半貴石が使われます。クォーツ(水晶)やアメジスト(紫水晶)、ラピスラズリ、ジェード(翡翠)、アクアマリン、オパール、ターコイズ(トルコ石)、シトリン(黄水晶)など様々なものがあります。

石を選ぶ際には天然石の専門家にアドバイスを求める他、好きな色や誕生石で選んだり、直接手に取って眺めたりしながら、自らの直観に従って選ぶなど、いくつかの方法があります。
また、石のエネルギーは天然石に宿るとされ、人工的に作られた石ではなく、天然の石を選ぶことが良いと考えられています。

フランスにおけるリトテラピー

リトテラピーは、石の力でホリスティックケアを行える自然療法として関心を集めるほか、美容やコスメ、ファッションといった分野にも広がりを見せています。

ストーンブームがたびたびファッション雑誌で取り上げられ、天然石を使った美容グッズや美容製品が続々と誕生しています。天然石を使用したフェイスローラーやカッサ(マッサージ用のプレート)、水を注いで手軽にクリスタルウォーターが作れるクリスタルウォーターボトル、天然石の成分が配合された基礎化粧品やファンデーションにネイル、そして、天然石の入ったロールオン香水やリップオイルなど、様々なものがあります。

カラフルで美しく、SNSに映えるお洒落なストーンは女性に人気が高く、ブレスレットやピアスなどのアクセサリーは石がもたらす効果を期待させるだけでなく、身に着けるだけでエレガントな気持ちにさせてくれるアイテムです。健康に気を配りながら美容効果も期待でき、またファッションとしても楽しめるリトテラピーは注目を集めています。

天然石や天然石を使ったアクセサリー、インテリアグッズ、小物などを販売するリトテラピーショップも増えています。
一方で、リトテラピーの有効性や治療効果、石に特定のエネルギーが存在するということについての科学的根拠はないとされています。リトテラピーは医師の診断や薬に代わるものではなく、病気の治療のためには医療機関を受診するよう、注意喚起がなされています。

リトテラピーの効果

石には多くの種類があります。それぞれの石が意味を持ち、その効果も様々です。
心を落ち着かせ安らぎを与えてくれる石もあれば、身体の調子を整えたり、活力を与えてくれる石もあります。
ストレスや精神的な不安、疲れや睡眠障害、頭痛といった日常的な心身の不調を改善するのに役立つとされる石もあります。

例えば、万能な石といわれるクォーツは、感性や直感を高めてくれます。また優れた浄化作用があります。
無条件の愛の石といわれるローズクォーツは心を落ち着かせ、なだめ、そして癒やしてくれる石です。
誠実さや気品の象徴であるアメジストは不安やストレスを軽減し、穏やかな睡眠を促します。頭痛を和らげる効果もあります。
アマゾナイトは希望の石ともいわれ、気持ちを落ち着かせ、悲しみを和らげ、ネガティブな感情を追い払ってくれます。

医療との関係

リトテラピーは代替医療のひとつです。
残念ながら、石に病気を治癒する効力があるという医学的根拠はありません。
心理的なものや信仰心などによって、症状の緩和や改善がみられることも時にはあるようですが、プラセボ効果以上の効果はないとされています。

慢性的な疾患がある場合等は、医療専門家の診療を受けること、また癌のような重大な疾病の場合には、迅速に適切な医療を受けることが強く推奨されています。

日々の生活での取り入れかた

リトテラピーは、石を身につけるだけで簡単にできる自然療法です。

石を選んだらいつでも直接触れられるように、身近な場所に置いておくのが良いといわれます。
ネックレスやブレスレット、ピアスや指輪など、アクセサリーとして身につけたり、石そのものをポケットやバッグに入れ、お守りなどとして携帯する方法もあります。
寝室や枕元に置いたり、リビングルームや玄関にインテリアとして飾るなどもいいでしょう。
瞑想をする際に石を近くに置いたり、石を手に取ると、より効果が高まるとも言われます。

石は定期的に塩水や流水で浄化をし、太陽や月の光の下などでエネルギチャージをすることが推奨されています。水晶クラスターの上に置いたり、セージやお香を焚いて、煙にくぐらせる方法もあります。

日本におけるリトテラピー

リトテラピーに利用される石は、日本では「天然石」や「パワーストーン」と呼ばれています。

日本でも、石は古代から神秘的な力を秘めたものとして、大切に扱われてきました。
縄文時代の遺跡からは、翡翠を使った勾玉が発掘されています。
日本では、欧米のニューエイジ運動や2000年代初頭に起きたスピリチュアルブームの影響で、パワーストーンの人気が高まります。天然石の専門店が増え、アクセサリーショップでもパワーストーンを取り扱うようになりました。

パワーストーンは仕事運や恋愛運、健康運や金運といった運勢を上げてくれる特別な石として、開運を願ったり、お守りとして買い求められるようになりました。
また、アクセサリーなどファッションの一部としても取り入れられるようになりました。天然石を使ったアクセサリーはカラフルで可愛らしく、色や誕生石、石言葉で選ぶ楽しみもあり、贈り物としても人気です。

その他、パワーストーンは美容やリラクゼーションの分野にも広く取り入れられています。
天然石の成分を使った化粧品や天然石入りフレグランスなどが開発されたり、石を使用したホットストーンマッサージも親しまれています。温めた玄武岩とアロマオイルによるトリートメントで、高いリラックス効果が期待できます。

リトテラピーの費用

石には様々な種類があります。
石の種類によって、また大きさや希少性、産地などからも値段が異なります。
ひと粒数百円で購入できる場合から、高額になると数万円、それ以上の価格になることもあります。また店によっても価格が異なります。

石にもよりますが、本物の天然石はやはり高価です。
石の種類を決めたら、手頃な価格の小さめの石を選ぶ方法もあります。
また、他の店舗に比べてあまりに安価な場合は、品質などに注意する必要があります。
本物の石を見分けるのは容易でないと言われ、人工的に作られた石(合成石や人造石、模造石など)が天然石として販売されたり、時には高額で取引されるなどのトラブルも危惧されています。

石は、天然石の専門店やストーンショップ等で購入することができます。天然石の知識を備えたスタッフがいる、信頼できるお店で購入すると安心です。
天然石を使ったアクセサリーショップやジュエリーショップもあり、お店によってはアレンジやオーダーメイドができる場所もあります。
また、自分で石を購入してアクセサリーを作るという方法もあります。

パワーストーンについての知識を深めたいという場合や、天然石のアクセサリーについて学びたいという場合には、専門スクールや教室で学ぶことができ、通信講座を利用できる場合もあります。また天然石やパワーストーンに関する書籍も豊富にあり、独学で学ぶことも可能です。

リトテラピーと資格

リトテラピーの知識を活かすには、パワーストーンセラピストやパワーストーンスペシャリスト、鑑定士としての活躍が考えられます。
パワーストーンに関する講座の講師としての活動、また教室やサロンを開いたり、パワーストーンの専門店を始めるなど、独立開業という道も考えられます。パワーストーンを取り扱う専門店への就職や、パワーストーンを使ったアクセサリーデザイナーなどとしての活躍も考えられます。

セラピストや鑑定士として働くために、国家資格は必要ありません。
しかし、石の種類や効果、扱い方や選び方などについての十分な知識を習得する必要があります。
民間団体がパワーストーンに関する講座を行ったり、資格の認定を行っています。

関連記事