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家庭はもちろん、給食や病院食でも。フランスの「BIO(オーガニック)」事情

最近では、“オーガニック”という言葉をコスメやシャンプーなどの美容の分野でも目にするようになりました。日本でも一見浸透してきたように見える反面、本来の意味である食糧の“オーガニック”についてはどうでしょうか。今回はオーガニック先進国であるフランスの事例についてご紹介します。

フランス人の生活に欠かせないBIO(ビオ)

日本では、オーガニック食品は手が出しにくい印象を持たれることがしばしばあります。原因はオーガニックでない食品に比べ割高で、特定のお店でしか買えない場合が多いためです。その点フランスでは、オーガニックはBIO(ビオ)と呼ばれ生活に欠かせない存在です。専門店は至るところにあり、チェーンのスーパーでも必ずBIO製品を揃えています。

フランスでのBIOの歴史を辿ってみると、第二次世界大戦後まで遡ります。戦後、化学肥料や農薬の使用で土壌汚染が深刻な問題となりました。そこで注目されたのが、農業と環境とのバランスが取れる有機農法(=BIO)でした。1960年代には国主体で有機農業協会が設立され、80年代にはBIOの認証制度が始まりました。さらに2000年ごろ、狂牛病が起因となり再び食の安全性がトピックに。BIOのムーブメントへと繋がりました。

フランス農務省「ABマーク」、日本農林水産省「JASマーク」

100%有機農法によって初めて取得できる認証マーク

BIO認証の「ABマーク」を取得するには、農産物は100%有機農法、加工品も有機農法95%以上と、とても厳しい基準が設定されています。BIO製品は食品のほか多くの日用品にも展開され、人々の根強い需要が表れています。さらに政府は、学校給食や病院食へのBIOの採用を後押ししたり、2025年までに農薬使用の半減目標を掲げたりと、現在でもBIOの推進に積極的な姿勢を示しています。

このようにフランス人の生活に欠かせないBIO製品ですが、彼らはなぜBIOを選ぶのでしょうか。2019年の公益機関の調査によると「自分と家族の健康のため」「地球環境のため」という理由で、約7割の人が月1回以上BIO製品を購入していることが分かりました。気になる価格ですが、通常の1.1倍〜1.5倍ほど。多少高くても、安全性や環境面が価格以上に重視されていることが伺えます。

アプリによる厳しい消費者の視点

健康や環境への関心は、なんとスマホアプリの分野にも見ることができます。近年、「Yuka」という市販品の栄養価と環境負荷がスコアとして表示されるアプリがフランスで大ヒット。欧米各国へと波及しています。商品のバーコードをスキャンするだけで結果が表示され、スコアの悪いものは代替品を提案してくれます。このアプリの影響で、商品の改良に踏み切る企業も出てきているそう。アプリの性能には改善の余地もあるそうですが、安全な食への関心はスマホ世代にも浸透しています。

日本で食の安全を数値化するアプリはまだ一般的ではありませんが、オーガニック食品を選ぶときのポイントはあるのでしょうか。実は日本でも認証制度があり、「有機JASマーク」が目印になります。フランスの「ABマーク」と同様の厳しい認証基準をクリアしたのち、初めて“オーガニック”や“有機”と表記することができます。

シンプル調理&調味料からはじめよう!

さて、選び方が分かっても、実際オーガニック食品をどう取り入れれば良いか悩んでしまうこともあるはず。そんな時は、調理法などを工夫しながら楽しんでみましょう。

例えば、オーガニック野菜を買った日は「素材の味を堪能する」という趣旨で、シンプル調理OKの日と決めてみる。毎回野菜を買って料理するのは大変と感じる時は、日常的に口にするものからオーガニックを取り入れてみましょう。

オイルや味噌、醤油といった調味料なら、1回の購入で継続的に取り入れることがきます。最近では大手スーパーのプライベートブランドでも、オーガニック商品を幅広く展開するようになってきました。意外と近所のスーパーで売っていた、なんてことがあるかもしれませんね。

誰もが、美味しく安心して食事を楽しみたいと思っているはず。フランスも日本も、食文化が世界遺産に登録された国同士です。この先も安心して、お互いの国が大事にしてきた食を楽しめる未来であるために、食べるもの、選ぶことを今までより少しだけ意識してみてはいかがでしょうか。

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