オートファジーとフランス人の食生活

近年注目されている健康法・美容法の1つに「16時間断食」が挙げられます。この方法のキーになるのが「オートファジー」と呼ばれる体の機能。2月12日は、1963年に世界で初めて、公式に「オートファジー」という単語が使われたことから、”オートファジーの日”と制定されました。今回はオートファジーの仕組みや、日々の生活に取り入れやすくする方法を探っていきます。

オートファジーを働かせる食事法とは

オートファジーとは、Auto(自分自身)とPhagy(食べる)を組み合わせた単語です。「自分を食べる」と聞くと何だか怖そうに聞こえますが、実際は細胞が自分自身を食べたのち、新しく生まれ変わることを意味します。
オートファジーの効果はさまざまで、免疫力アップや体重減少、エイジングケア、便秘や肌荒れの改善など、健康はもちろん美容にも嬉しい効果がたくさんあります。では、オートファジーとはどのような仕組みなのでしょうか。

オートファジーのポイントは、エネルギー源をブドウ糖代謝からケント体代謝へ切り替えること。ブドウ糖は「糖」ですが、ケント体は脂肪やたんぱく質を分解したときに発生する物質で、簡単に言うと、エネルギー源を糖ではなく脂肪の燃焼にスイッチするのです。するとオートファジーが活性化し、古くなった細胞を新しく生まれ変わらせることができます。

やり方はとってもシンプル。1日のうち16時間を”プチ断食”して過ごします。この空腹時間がケント体代謝からオートファジーの活性へと導くのです。
また、この16時間断食では空腹時間が設けられるため、胃腸を休めるという効果もあります。胃腸が休まると腸内環境が良くなり、善玉菌も増えます。すると下痢や便秘の改善、肌荒れやアレルギーなどの炎症緩和、免疫力も高まったりと良いこと尽くめなのです。

食事可能な8時間は好きなものを食べられ、また断食の16時間には睡眠も含められるので、比較的始めやすいと言われているこの方法。しかしながら、1日3食が良しとされる中で育ってきた私たちにとって、その習慣を崩すのはそう簡単ではないことも。次章では、プチ断食は難しそうと感じる方でも、取り入れやすくなるひとつのステップとして、フランス式食事の摂り方をご紹介します。

オートファジーの足がかりに⁉︎ フランス式食事スタイル

ここで少し、フランス人の食事の摂り方に目を向けてみると、オートファジーを活性化させるようなシンプルな食生活を意識していることに気が付きます。ポイントは、胃腸への負担を減らした食事量です。例えば、朝はヨーグルトにフルーツをほんの少量、または8枚切りよりも薄い食パンにジャムを塗ってサクッと済ませます。朝の準備で慌ただしい場合は、通勤中にリンゴを歩きながらかじったり、ダークチョコをひとかけつまんだり。このほかにもエスプレッソやハーブティのみで済ませてしまうという人もいるようです。
一方でお昼、あるいは夜のいずれかをしっかり食べるのがフランス流。パン屋さんやカフェでおなじみのバゲットサンドや、チキンやツナ、オリーブなどのタンパク質や脂質がしっかり摂れるサラダランチなどがポピュラーです。夜は有り物の野菜で作るスープとチーズ、お肉がある日はオーブンで焼くだけ。このように、満腹必須のフレンチのコースとは打って変わって、普段の食事量は控えめで、調理法もシンプルな場合が多いです。
ただし、これらは平日だけ。休日になればイベントやパーティで家族や仲間と共に、たっぷりと料理を作り食事の時間を楽しみます。平日の優先事項は手間なく時短で済ませること。休日は食事や料理を楽しむことが優先です。あくまでも我慢ではなく、優先事項を入れ替えることで、自然に食事量をコントロールしているのです。

週1回からはじめるオートファジーのすすめ

オートファジーを意識したライフスタイルに挑戦したいと思っても、いきなり16時間のプチ断食はハードルが高いと感じるのであれば、フランス人の食生活からスタートしてみるのはいかがでしょうか。

まず、平日の食事量が少なくなるため、空腹感に慣れる練習ができます。その過程で胃腸への負荷が軽減され、腸内環境も改善されるはずです。また、料理を簡単に済ませてOKなのも見逃せないポイントです。自炊が苦手な人、料理に時間をかけたくない人には取り入れやすいはず。週末はきちんと食事を楽しめるので、無理なく続けやすいと言えるでしょう。
16時間断食は週1回でも効果があると言われています。食事量を抑えて少しづつ空腹感をコントロールできるようになれば、週1回のハードルがいつの間にか下がっているかもしれません。

16時間断食に興味はあるけど、食事を我慢できるか不安な方は、”準備運動”としてフランス人の食事の摂り方、メリハリの付け方を参考にしてみてはいかがでしょうか。2月12日の「オートファジーの日」は、食生活を振り返るきっかけの日にしましょう。

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