フランスでオーツ麦が愛される理由
ここ数年、”オーツ”や”オートミール”を目にする機会が増えてきました。私たちの生活になじみつつある”オーツ麦”ですが、実は記念日があるのをご存知でしょうか。来る2月2日は”オーツ麦の日”。今回はオーツ麦の効果や、昨今注目されている理由に迫ります。
フランスではなじみの深いオーツ麦
”オーツ麦の日”を制定したのは、フランスはパリに本社を置く、ヨーグルトでお馴染みのダノンジャパン。「オー(0)ツ(2)」と読む語呂合わせと、季節の変わり目にあたる節分や立春の時期はオーツ麦の栄養を摂って健康に過ごしてほしい、という願いから02月02日に制定されました。
フランスのスーパーマーケットには、オーツ麦に関する食品がたくさんあります。たとえば、オートミールやオーツフラワー、ビスケット、パンなど。なかでもオーツミルクは、香ばしく甘みのある風味が人気で種類も豊富。また、フランス人は日本人と比べて乳糖不耐症の方も多く、ラクトースやコレステロールを含まないことからも人気が高まっています。グルテンを含まないので、小麦アレルギーの方やグルテンフリーを意識した食生活を行う方にも広く受け入れられています。
腸活にもぴったりなオーツ麦
さて、そんなオーツ麦にはビタミン、ミネラルをはじめ、食物繊維やタンパク質、鉄分といったさまざまな栄養素が含まれています。中でも注目なのが食物繊維。食物繊維には2種類ありますが、”不溶性食物繊維”は便の嵩を増し、腸内の善玉菌を増やしてくれます。一方、”水溶性食物繊維”は糖質や脂質の吸収を穏やかにし、悪玉コレステロールを低下させてくれます。役割の違いから、両方摂るのが理想的だと言われています。どちらか一方を含む食品が多い中、オーツ麦は両者をバランス良く含む優秀食材なのです。
近年では幸せホルモンのほとんどが腸内で作られている、という事実も明らかになっています。オーツ麦を摂ることは、身体のみならず心も健康に導いてくれると言えるでしょう。
環境面から見たオーツ麦。植物性ミルクへの注目も
そんな栄養面に優れるオーツ麦ですが、調理が簡単なのも嬉しいポイント。食用に加工したオーツ麦である、いわゆるオートミールは、さっと煮るだけでポリッジと呼ばれるお粥のようなものができたり、寝る前に好みのミルクに浸しておいて、朝はフルーツやナッツをトッピングするだけのオーバーナイトオーツが完成します。
朝食を準備する時間もない!という多忙な方には、オーツミルクがぴったり。最近では日本のスーパーやカフェでも手に入るようになりました。手軽に飲めるオーツミルクですが、海外では栄養や効果とは全く異なる点でも注目されています。それは、環境や動物福祉の観点です。
なぜ環境と関わりがあるかと言うと、環境負荷の高い畜産業に対して、オーツミルクがひとつの改善策となりうるためです。世界的な水不足が懸念される中、畜産業では全世界の淡水量約3割を消費します。メタンガスや輸出入によるCO2問題、更には農場確保のためにアマゾンで森林破壊が進んだりと、数々の問題を抱えています。
その点植物性ミルクは、水、CO2排出、土地それぞれにおいて牛乳よりはるかに少ないコストで生産が可能です。持続可能な未来に向けて、植物性ミルクの可能性に注目が集まるのも納得ですね。
また、動物福祉、アニマルウェルフェアの観点では、畜産業における生育環境に注目。動物にも人間と同様に生きる権利がある、という考え方から、身動きが取れない環境や多量の薬剤投与など、飼育環境の改善が求められています。欧米諸国ではこれらの考え方が浸透し改善が進む一方、反対する意思表示として植物性ミルクや代替肉といった選択をする人たちが増えています。
健康と環境のためにオーツ麦を摂ろう
これまでは”身体に良い”や”美味しい”という基準で食べ物を選ぶことが多かったのではないでしょうか。オーツ麦がその味や嬉しい効果だけでなく、環境や生命の在り方も踏まえて選ばれているということは、日々の食事を見直すきっかけになるかもしれません。今週末は”オーツ麦の日”を記念して、カフェでオーツミルクラテをオーダーしてみてはいかがでしょうか。
環境負荷や動物福祉の観点について併せてチェック▽