疑わしきは全てノン!? フランスの食品添加物事情

食品添加物と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持ちますか。一概に良し悪しを問うものではありませんが、海外と比較することで気づくことや見えてくることもあるかもしれません。今日は日本とフランスの、食品添加物の考え方の違いにフォーカスします。

日本で食品添加物が多い理由

まず、改めて食品添加物の役割について見ていきましょう。味や見た目、食感、保存しやすくするなど、様々な役割を食品添加物は担っています。例えば保存料を使うことで食中毒や食品ロスの削減に繋がったり、低価格でどこでも購入できるという利便性の実現にも一役買っています。
さて、日本で使われている食品添加物は海外よりも多い、という話を耳にしたことはありませんか。実はこれにはちょっとしたからくりがあります。どこまでを“食品添加物”として括るのかは、国ごとでその基準が違っています。特に日本では、食品の国際規格でも除外している香料や栄養を補うための栄養増強剤といったものも全て“食品添加物”としてカウントしています。そのため、日本では添加物の量が圧倒的に多い、という見え方になっています。

また、日本では通常飲食している食品を色付けや甘味付けといった役割で使うと、“食品添加物”と括られます。例えば、いちごや抹茶を赤や緑の色付けに使う場合がこれに当たります。
私たちに必要なのは、添加物の種類の多さに目を奪われることではなく、どういった考えのもと使われているかを知り、普段の食事選びや買い物の仕方に活かしていくことです。

フランスの食品添加物事情

さて、ここからはフランスの添加物事情について見ていきましょう。注目したいのが、食品添加物を扱う上での国のスタンスです。食品の国際規格として“CODEX(コーデックス)”と言う機関があります。この機関によって「安全だ」と結論づけられた食品添加物に対して、少しでも不安が残るものは、フランスでは使用や輸入を禁止しています。フランスはじめEUでは、“予防原則”の考え方が中心となっており、安全性がグレーゾーンのものは除外する姿勢を取っています。そのため、日本では使用されている食品添加物でも、フランスでは使用禁止や規制対象となっているものが数々あるのです。

例えばホワイトチョコレートの着色料、二酸化チタン。白を着色して出すことに驚くかもしれませんが、着色料なしの場合、黄味がかった練乳のようなホワイトチョコが出来上がります。二酸化チタンで問題視されているのが、発達障害やがんを引き起こす可能性。フランスでは2020年から使用禁止となり話題になりました。
また、ナイシンという保存料についても、フランスはじめEUでは使用範囲を限定しています。実はナイシンの主成分は抗生物質。食品から過剰摂取してしまうと、いざという時に抗生物質が効かなくなってしまうことが懸念されています。EUではチーズなどの乳製品に限定して使用可としていますが、日本ではハムなどの食肉製品、ソースやマヨネーズなど幅広い食品で使用されています。この様に発がん性などの直接的なリスクだけでなく、薬の効き目という間接的なリスクも網羅して採用の可否を検討しているのがフランス。日本においても添加物の安全性は検証が行われていますが、考え方の違いは存在します。つまり安心と断定できなければやめておくのか、あくまでも可能性であれば使い続けるのか、というのが分かれ目となっています。

コンビニとの付き合い方を見直してみよう

フランスと比べ安全性への考え方がやや消極的な日本だからこそ、個人の選択がより重要になってきます。全てを避けるという意味ではなく、心地よいバランスを目指すことを考えてみましょう。
例えば、忙しい平日のランチ。コンビニよりも街の定食屋さんを選んでみてはいかがでしょうか。実は、コンビニ弁当は気温30度で丸2日経っても食べられる衛生基準。買ってすぐに食べる人にとっては、必要以上の衛生基準だと言えます。毎日コンビニ弁当を食べているなら、週1回は街の定食屋さんで出来立ての美味しさを楽しんでみましょう。

また、カット野菜ではなく丸のままの野菜を買うのもおすすめ。カット野菜は便利な反面、何度も漂白材での殺菌が繰り返されます。過剰な洗浄を経ていない生野菜とのバランスは取りたいところです。例えばキャベツは一人暮らしや少人数世帯にとっては、特に食べ切れるかが心配で買うのに躊躇することも。そんな時はたっぷり手でちぎってポリ袋に入れ、塩、ごま油、にんにくを加えて揉み込むだけで完食必須のやみつきキャベツが完成します。生姜や炒りごま、塩を塩昆布に変えるなど、実はアレンジも楽しめます。また、ドイツの伝統食でもあるフランス・アルザス地方の伝統料理“シュークルート”に欠かせないザワークラウト(乳酸発酵キャベツ)もおすすめ。キャベツを塩漬けして常温で乳酸発酵させるので、日持ち問題の解消に加え腸活まで叶います。
この様に、何かを禁止したり我慢したりせずとも、楽しみながらバランスをとる選択肢はたくさんあることも忘れないでおきたいですね。

国ごとに考え方は違いますが、自分自身がどうありたいのかを考え選ぶことはできます。忙しい日は便利なコンビニの力を借りたり、また時間ができた時は手作りを楽しんでみるなど、自分にとって心地よい食との付き合い方を、この機会にぜひ一度考えてみるのはいかがでしょうか。

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