フランス流「水を使わない」スキンケアの秘密。日仏の水事情から紐解くビヤンネートルな水分補給
心と体を心地よく、美しい状態へと導くフランス式ライフスタイル「ビヤンネートル(Bien-être)」。
私たちが生きるうえで、決して欠かすことのできない「水」。蛇口をひねれば当たり前のように流れてくる存在ですが、実は国や地域、気候の環境によって、その扱い方や文化には大きな違いが見られます。今回は、日本とフランスの「水」にまつわるカルチャーの違いを紐解きながら、これから初夏に向けて見直しておきたい、心身を美しく潤す水分補給のTIPSをお届けします。
目次
肌と髪を育む水。フランスと日本、それぞれの「水事情」
日本とフランスの水事情において、大きく異なる点は「水質(軟水と硬水)」「湿度」、そして「水資源の捉え方」の3つです。まず、水に含まれるミネラルの種類や量によって決まる「軟水と硬水」の違い。日本は基本的に軟水であり、ミネラル分が少ないため口当たりが滑らかで、石鹸や洗剤もよく泡立ちます。お風呂やシャワーなど、日常生活でたっぷりと水を使う文化に向いている水質です。一方、フランスはミネラルを豊富に含む硬水が主流です。硬水は飲むことで便秘解消やミネラル補給に役立ち、肉料理の臭み消しなどにも有効とされています。
しかし、実際にフランスで生活をすると、この「硬水」との付き合い方に工夫が必要であることに気づきます。水道水は飲用可能ですが、ケトルを使えばあっという間にカルキ(石灰)が溜まります。また、硬水のミネラル分は石鹸の成分と結合しやすく、日本のシャンプーを使ってもほとんど泡立ちません。さらに、硬水で毎日髪や肌を洗い続けると、強い乾燥や肌荒れ、頭皮の詰まりを引き起こす原因にもなります。
洗い流さない。環境に寄り添うフランスのスキンケア
フランスは日本よりも空気が乾燥しているため、毎日のようにシャワーを浴びて硬水に肌を晒すことは、乾燥に追い打ちをかけることになります。そのため、洗顔やクレンジングは「拭き取りタイプ(ミセラーウォーターなど)」が一般的です。メイクを拭き取った後はローズウォーターなどで肌を整え、ここでも水で洗い流すことはしません。いかに肌を水に晒さないかという哲学が、コスメティックスのラインナップにも色濃く反映されています。また、世界規模で懸念されている水不足の問題は、フランスも例外ではありません。シャンプーの回数を減らし、クレンジングに水を使わないフランスのライフスタイルは、肌を守るだけでなく、自然と「水資源の保護」にも繋がっているのです。翻って日本は、肌が乾燥しにくい軟水に恵まれ、湿気でベタつく季節があるからこそ、毎日湯船に浸かりシャンプーをする文化が根付いています。しかし、日本に水が豊富にあるからといって、世界規模の[バーチャルウォーター(仮想水)]の問題は無視できません。環境に配慮し、水の使い方をセーブするフランスのライフスタイルは、今の私たちにとっても大きな参考になるはずです。
内側から潤いを満たす。フランス人がこだわる「水」の美学
私たちの体の約60%は水分で構成されていますが、その内のわずか5%が失われるだけで、脱水症状や熱中症のサインが現れます。ここで押さえておきたいのは、「喉の渇きを感じた時点で、すでに体は脱水状態にある」ということです。気温が少しずつ上がり始めるこの時期に、水分補給の習慣を改めて見直しておきましょう。効果的な水分補給のポイントは、「喉が渇く前にこまめに摂ること」、そして「常温の水や白湯を選ぶこと」です。水は一度に大量に飲んでも体が吸収しきれず排出されてしまうため、1回あたりコップ1杯分を目安に、起床時、食前、入浴前後などに分けて飲むのが理想的です。
フランスの常温と炭酸水への愛着
水の飲み方においても、日仏の違いは興味深いものがあります。日本のコンビニや飲食店では冷えた水が提供されるのが慣例ですが、フランスのレストランで無料の水道水(カラフ・ドー)を頼むと、基本的には常温で出てきます。冷水は内臓を冷やし、消化機能の低下や血行不良に繋がることを無意識に知っているため、フランスでは水だけでなく、ビールでさえ常温に近い温度で楽しむ人がいるほどです(以前、パリで開催したイベントで冷たいドリンクを提供したところ、その冷たさに驚かれるマダムがいらっしゃったほどです)。
また、フランス人は健康と美容のために、日常的に水をたくさん飲むことを非常に大切にしています。街を歩くパリジェンヌの多くがマイボトルやミネラルウォーターのボトルを持ち歩き、一日を通してこまめに喉を潤しています。
さらに、レストランで水(有料)をオーダーする際は、必ず「ミネラルウォーター」か「炭酸水(ペリエやバドワなど)」かを聞かれます。フランスにおいて炭酸水は、単なる嗜好品ではなく食事の消化を助ける日常的な飲み物として、ミネラルウォーターと同等に深く愛されているのです。水分補給は、お肌の潤いの源であり、シワ予防などのエイジングケアにも絶大な効果をもたらします。体の巡りを良くし、老廃物を排出するデトックス効果を高めるためにも、日頃から良質な水を意識的に取り入れていきましょう。
マイボトルと給水スポット。サステナブルな潤いの習慣を
水分補給を美しく習慣化するうえで大切なのは、いつでも新鮮な水が手に取れる状態を作ることです。この機会に、お気に入りの「マイボトル」を探してみてはいかがでしょうか。最近のマイボトルは非常に軽量で洗いやすく、デザインもエレガントなものが豊富に揃っています。中に入れるものを「水」や「白湯」だけに決めてしまえば、茶渋や匂い移りの心配もなく、お手入れも非常にシンプルです。また、1日分の水をすべて持ち歩かなくても、近年は無料で給水できるスポットが増えています。無印良品の一部店舗に設置された給水機のほか、『mymizu(マイミズ)』というスマートフォンアプリを使えば、無料で給水できるカフェや公共施設を簡単に探すことができます。「給水でサステナブルがあたりまえな世界へ」というビジョンを掲げるこのアプリでは、給水によって節約できたペットボトルの本数やCO2削減量を可視化してくれます。自分の体を潤す行為が、そのまま地球環境への貢献に繋がる。これこそが、現代にふさわしいスマートなインナーケアと言えるでしょう。
水を見つめ直し健やかな循環を
私たちの生活に欠かせない「水」。地域や水質によってその使い方は異なりますが、水を大切に扱い、心身を潤すという本質は世界共通です。日本でも給水スポットの普及など、環境に配慮しながら気軽に水分補給ができる環境が整ってきました。気温が上がり汗をかきやすくなる季節に向けて、ぜひご自身の「水との付き合い方」を心地よくアップデートしてみてください。
Realization & Text : Ayako Ichimura 、Edit : Institut du bien-être
日仏ビヤンネートル協会では、フランスのエスプリを通じて、日本の女性に「引き算の美学」に基づく美しさと健やかさのメソッドを発信しております。美容ケアにとどまらず、フランス人女性ならではの「年齢を重ねるほどに美しくなる」美意識とライフスタイルをテーマとした企業様向けの各種講演・セミナーのご依頼も承っております。お気軽にお問い合わせください。
Nathalie KONISHI/一般社団法人日仏ビヤンネートル協会 代表 ▶︎プロフィール





























































